|
|
ネットステラ
https://pid.nhk.or.jp/netstera/
「だんだん」取材こぼれ話 第21回
「『花むら』の中で、花鶴として生きること〜京野ことみさんインタビューから」
(写真入り)
「花鶴さん姉さん」として祇園「花むら」の芸妓・花鶴を演じている京野ことみさんは、劇中と同様に同じ芸妓役の三倉佳奈さんや木村文乃さんが常にお手本にしている、お姉さん的な存在。
ネタバレのためにステラ2/13号で掲載できなかったものの、京野さんの魅力がたっぷりと伝わる本誌未掲載インタビューを今回の「取材こぼれ話」で紹介します。
◎芸妓さんに対するイメージをいい方向に裏切りたい
この作品の中で花鶴は、祇園の芸妓という特別な存在ではなくて、1人の女性としても描かれていると私は思っています。とても情に厚かったり、妹分の芸妓や舞妓の面倒見もよかったり、お姉さん気質でありながら楚々とした部分も持っていて。いわゆる「はんなり」というだけの女性ではない、と思いますね。とはいえ、思春期から祇園で育ってきたわけですから、京の時間の流れといいますか、祇園ならではの時間の流れも彼女の中に息づいている。相反するように思われるかもしれませんが、それは離れているわけではなくて、多面性があるというか、喜怒哀楽の感情がすごくはっきりしている女性だと思うんですね。そういう意味では「花むら」の人たちの中では、ちょっと違った色を持っているかもしれません。彼女の恋愛にしても、見てくださっている方が「祇園の芸妓さんだから、きっとこういう恋愛をして」と思い描いたイメージを、大きく崩しているのではないか、と(笑)。みなさんが持たれているイメージを、いい方向に裏切っていければいいなと思っています。
私は台本をいただくまで、花鶴が広島生まれ(*京野さんも広島県出身)だということを知らなかったんですよ。でも、私は「花鶴は花鶴でいいんじゃないかな」と思っていて。彼女にも家族がいて、おそらくは中学を卒業するまで実家にいたわけですから、そういう生い立ちや「花むら」に入ったきっかけを考えることで、演技を組み立てていくアプローチの仕方もあります。けれども、今回、私に必要とされているのはそこではないなと思いました。祇園にいれば本名は必要ないし、「花むら」にはお母さんもいます。そういう中で花鶴として何かを表現するというのではなく、「『花むら』の中で、花鶴として生きよう」という感覚を、いつも持っていました。
◎たくさんある大好きな花鶴のセリフ
花鶴のセリフ、好きなものがたくさんあるんです。結構、いいことを言っているんですよね(笑)。たとえば、出生の秘密を知りたがる夢花(のぞみ)ちゃんから携帯電話を取り上げて「仲よう暮らしたはる家庭を壊す権利は、誰にもおへんのや」と言う場面など、胸に迫るセリフだなと思います。ポイント、ポイントで、ドーンとくるセリフを言っている感じがありますね。でも、花鶴のおちゃらけたセリフも大好きですよ、私。澤田さんに花を贈られた花雪さん姉さんに「お花じゃなくて、松茸を贈ってもらえば」と言ってしまったり(笑)。メリハリというのかな、そういうことを冗談めかして言えてしまう花鶴って、すてきだなって思います。ひとつ選ぶとしたら? うーん、何でしょう、なかなか決められないのですけれど……。後藤先生が酔っぱらって夢花ちゃんのことをめぐみと言ってしまった夜に、真実をつきとめようとする夢花ちゃんに花鶴が「知ってしもたら、もう取り返しはつかへんえ」というセリフ。あれは、この作品の大きいテーマの中から派生するいくつかのテーマのうちの1つのような気がしていました。知ってしまったら、もう後戻りはもうできない。「知ってしもたことと、一生つきあわんならん」と続くセリフでしたが、それはめぐみちゃんと夢花ちゃんが向き合う最初の壁で、後々も抱えていくテーマだったと思いますね。
◎みんなと会えることがいちばんの楽しみ
連続テレビ小説の収録現場は、何だか生活の一部みたいな感じですね。約10か月、長い期間、同じ共演者の方々、同じスタッフの方々と一緒に作品を作り続けていると、現場の空気や温度が体の中にしみ込んできます。細胞の中まで記憶として花鶴が残っている、という感じでしょうか。たとえば、1クールのドラマや、映画、舞台だと、3か月か4か月短い期間なりに密度が濃くて、毎日必死に走っている感じがするのですが、連続テレビ小説は長期間ということもあり、もっとどっしり構えていられる感じがします。
現場で楽しみにしているのは、みんなと会えること。この作品にかかわっている、すべての人に会うことが、楽しみです。だから、めぐみちゃんと夢花ちゃんが入れ替わったりすると、「あれ、めぐみちゃんはいるけれど、夢花ちゃんがいないな」という感じになって(笑)。最近の収録ではめぐみちゃんと共演する場面が少ないので、「茉奈ちゃんとはメイク室で会っているけど、めぐみちゃんにはしばらく会ってないな。次は、いつ会えるんだろう」と、思ったりしますね。
めぐみちゃんと夢花ちゃんの変化? 何だか、不思議な感じですね。特に夢花ちゃんは不在の期間に「今、何をしているのかな」ということをずっと思いながら演じていたので、久しぶりに隣に並んだときの違和感というのか、それはすごく感じましたね。この間まで舞妓だったのに、今は「髪型が違うぞ」「着物も違うぞ」と、また一緒にいられてうれしいんだけどすごく不思議な気分になりました(笑)。めぐみちゃんも、ナース服を着て歩いていますからね(笑)。でも、姿は変わっているかもしれないけれど、それぞれの道を歩みながら、精いっぱい生きていることには変わりはないし、二人の真っ直ぐな思いはどんな状況にあっても変わらないんだなということを、改めて感じました。
きょうの・ことみ
10月18日、広島県生まれ。'92年の映画『七人のおたく』でデビュー後、ドラマ「白線流し」「ショムニ」(ともにフジテレビ系)などへの出演で話題を集め、舞台、CMほか幅広く活躍。NHKでは木曜時代劇「鞍馬天狗」での白菊役が記憶に新しい。
------------------
https://pid.nhk.or.jp/netstera/dandan_column/v21.html
|
|